バトル

「なぁ・・・何で俺達こんな所で、こんな事してるんだ?」
 激しい銃撃戦から身を守るように、岩陰に身を潜めているミックがポツリと呟いた。
 その言葉に、他のメンバーの視線が一斉に一人の男に向けられる。
「何だよ?俺のせいだっていいたいのか?」
 視線を向けられた和斗は、いささかムッとしながら一同を見渡した。
 彼を含め、4人の男が身を潜めている。
「お前が一台の車でいいって言ったからだろ」
 僚の言葉に、和斗不機嫌な顔で抗議した。
「お前がガソリンがないってぬかすからだろうが、僚!!」
「だったら、2台でこればよかったじゃないか!?」
 僚の言葉に、和斗の中の理性が切れた。
「俺か!?俺が悪いのか!?」
「あぁ!お前が悪い!!」
 興奮のため、段々と声が高くなる二人にミックが呆れて声をかける。
「お前ら少しは声のトーンを落とせ。敵に気づかれる」
 瞬間、二人は同時に振り向くと怒鳴り返した。
「だまれミック!!元々はお前の仕事だろうが!!」
 怒鳴られたミックは、首を竦めて隣の海坊主に小声で話しかけた。
「・・・お前が昔あいつらを兄弟って呼んでた理由がよく分かった」
 その言葉に、海坊主がミックの方を見た。
「普段は正反対の性格のくせに、切れるとそっくりになるんだな・・・あの二人」
「今頃気づいたのか?」
 海坊主はそう言ってミックの方を見た後、視線を睨みあっている和斗と僚に向けた。
「お前ら何時までそうしてるつもりだ?まぁ、案山子になってくれるんなら喜んで立たせておくが・・・」
 海坊主はそう言うと、いきなり和斗達に向かって発砲した。
 慌てて二人はしゃがみこむ。
 二人の後方で、悲鳴が上がった。
「お前・・・!?」
 僚が海坊主に文句を言おうとしたのを、和斗が首根っこを抑えて黙らせる。
 敵に位置が知れた以上、何時までもここに居るわけにはいかない。
「とにかく、ここから離れるのが先だ」
 その顔は既にプロの顔に戻っていた。
 瞬時に全員急いでその場から離れる。

「とりあえず何処へ行く」
 また、落ち着いて隠れられる場所を見つけて、身を潜ませると僚が聞いた、
「車だろ?」
その言葉に、和斗が答える。
「そういやぁ、何でお前が参戦してるんだ?何時もなら関わらんだろ」
 ミックの言葉に、とたんに和斗が嫌な顔をした。
 対して、僚は面白そうにニヤニヤしている。
「お前は、当分俺に逆らえないよな・・・」
「何だよ?何かあるのか?」
 ミックが不思議そうな顔で僚に聞く。
「いやいや、以外だったよ。お前があんな物が苦手だとはな・・・」
「黙れ!僚!!いいか、他の奴にしゃべったら一生恨むからな」
 和斗の言葉に、僚の背に汗が伝う。
ここでしゃべったら、自分の幸せは金輪際訪れない。
何故かそう確信できる程の声音だ。
 そんな和斗の様子に、ますますミックの興味が湧く。 
何時襲撃されるかもしれないというのに、暢気に会話している3人を見て海坊主の肩が怒りで震える。
「お前ら、少しは応戦しろ!!」
 その言葉に、3人が顔を見合わせて手をポンと打った。
「忘れてた」
「・・・・・・」
 今や海坊主の怒りは頂点に達していた。
 持っていた拳銃を3人に向ける。
「わ〜待て待て。落ち着けって海坊主。俺が悪かった!!真面目にやるから!!その銃を降ろせ・・・って、何で俺に照準が合ってるんだよ!!俺だけじゃないだろうが!!」
「何時もの癖だ」
 反省のかけらもないようなぶっきらぼうな返答に、僚が文句を言う。
「直せよ!そんなあぶない癖!!」
「落ち着けって、とにかく俺と僚が車に向かうから。海坊主、お前はミックとここに残ってくれ」
「ちょっと待って!何でお前と僚が車に向かうんだ!?一番必要のない人間じゃないか!!」
 ミックが二人の拳銃に視線を向ける。
 この二人は絶対に他の武器を使う事はない。
「その意見に俺も賛成だ」
 ミックと海坊主の言葉に、僚が反論する。
「うるせぇ!俺は車ん中に置いてきた携帯を取りに行きたいんだよ!!」
「右に同じく」
 僚の言葉に和斗が片手を挙げて同意する。
二人の言葉に、ミックが不思議そうな顔をした。
「携帯?・・・何でそんなもん必要なんだ?」
「大方、どこぞの誰かに電話でもするんだろ?」
 海坊主がニヤニヤしながら言う。
「悪いか!?ハンマーでどつかれるのは俺なんだぞ?それとも何か?お前らが責任取ってくれるのか!?」
 僚は海坊主とミックを交互に指差しながら喚き立てる。
僚の隣では、納得というように和斗が首を立てに振っている。
「僚は何時もの事とはいえ・・・お前は何かあったのか?」
 海坊主の言葉に、聞いてくれるなといわんばかりに頭上で片手を振る。
「4人で行けば?」
 ミックのもっともな言葉に、3人が顔を見合る。
「それもそうだな・・・でミック、ナイフと手榴弾どれがいい?」
 和斗の言葉に、ミックがゲッ!という顔をした。
「お前らプロが3人揃ってるのに、引退した人間に働かせるのか!?」 
「使えなかったら、ここに置いてくから心配するな」
 3人に同時に言われ、ミックの顔が引きつる。
「・・・いい友人を持って俺は幸せだよ・・・!!」
 その言葉を合図に、4人が飛び出す。

どうにか車までたどり着いた一行は、あたりの様子を伺った。
敵がいない事を確認すると、僚と和斗は自分の携帯を取り押しなれた番号にかける。
電話が繋がったのか、僚は和斗達に声が聞こえない位置まで移動した。
「何してんだ?あいつ」
 ミックが僚の方を顎でしゃくる。
「香にでも、必死に言い訳してるんだろ?」
 海坊主が興味なさそうに言うと、同じ様に隣で電話している男に視線を向ける。 
 和斗は、直ぐ済むというように身振りで示す。
「何か様子がへんだぞ」
 ミックの言葉に、海坊主が再び視線を僚に向ける。
 何やら凄い剣幕で怒鳴っている姿が視界に入る。
「どうせ、香に信じてもらえないんだろ」
 電話を終えた和斗が、僚の方に視線を向けると言った。
 当の本人は、必死になって弁解している様だ。
 しかし、直ぐにムッとした表情で携帯を眺める。
「あの様子だと、交渉は決裂したみたいだな」
 和斗の言葉に、僚が怒りの視線を向ける。
「憂さ晴らしさせてやろうか?」
 和斗はニヤリと笑うと、後方を指差した。
 何時の間にか、周りから2,30人の人の気配がしていた。
 どうやら、敵が追いついてきたらしい。
「本当にいいのか!?」
 和斗の言葉に、とたんに僚が嬉しそうな顔をした。
「あぁ。誰も邪魔せんから、思う存分暴れて来い」
 和斗が言うが早いか、僚が喜々として飛び出していく。
「いいのか?」
 ミックがボーとしながら、和斗に聞いた。
「俺、昨日から徹夜なんだよ」
 助手席のドアに手を開けながら、和斗が答える。
「俺、何か向こうの敵さん達に同情するわ」
 ミックは、僚が消えた方向に合掌した。
「確かに、羊の群れに狼を放り込んだ感じだな」
 海坊主もやれやれと言った表情で呟く。
 こんな日に襲撃した敵が不運なのか。
 はたまた、日頃の行いの結果ともいえるべき僚の不運か。
「まぁ、俺等には関係の無い事だな」
 和斗の興味ないという言葉に、海坊主もミックも肩を竦める。

「何だ?意外と早かったな」
 すっきりとした表情で帰ってきた僚に、海坊主が声をかける。
 僚は大した事ないと言うように肩を竦めると、助手席で仮眠を取っている和斗に声をかけた。
「頼みがあるんだけど」
 和斗は何だというように、薄めを開ける。
「今晩、泊めてくんない?」
 その言葉に、和斗の両目が開いた。
「・・・閉めだしくらったのか・・・?」
「・・・」
 無言が肯定の意味を表していた。
「・・・俺は、つくづく日頃の行いが大事だと実感したよ」
 和斗は盛大なため息をついた。
「で、泊めてくれるのか?」
 僚の嬉しそうな顔とは対象的に、和斗の顔はうんざりとしている。
「野宿しろ」
「お前が教会嫌いだって事、皆にバラすぞ」
 僚が小声で和斗に囁く。
「覚えてろよ!僚!!」
 和斗は引きつった顔を浮かべると、嬉しそうに小躍りしている僚を睨みつけた。


「・・・で、家に連れてきたわけ?」
 寛弥は夫から一通りの説明を受けると、玄関先で酔いつぶれている僚をため息混じりで見た。
「こいつが、海坊主の車に積んであった酒を飲みまくってさ・・・もう、大変だったんだぜ」
 和斗は、疲れたと言うように座り込んだ。
「大変ね・・・パパ」
 寛弥はしゃがみこんで目線を和斗に合わせると、ニッコリ微笑んだ。
「ママほどじゃないでしょ」
「そのママなら、家で酔いつぶれてるわよ」
 寛弥の言葉に、和斗がギョッとする。
「何してるんだ?あいつは!!」
「いろいろ思うところがあるのよ、香さんも」
 寛弥がため息まじりに答える。
「どうする?とりあえず、客間に運ぶ?」
「真冬じゃないんだ。ほっといても風邪ひかんだろ」
「そういうわけにもいかないわよ。とりあえず、リビングまで運んでくれる?」
 香がリビングで寝ているという事実をすっかり忘れている寛弥は、和斗に僚を連れて行くように頼んだ。
 寛弥の言葉に、和斗はしぶしぶ立ち上がると僚を担ぎ挙げた。
「・・・海坊主さんならまだしも、よく冴羽さん担げるわね・・・」
 寛弥がしみじみと和斗の後ろ姿に声をかける。
「惚れ直した?」
 和斗は微笑むと、顔を寛弥の方に向ける。
「冴羽さんがいなかったら、抱きついてるわよ」
「じゃぁ、今からこいつ放り出そうか?」
 和斗の軽口に、寛弥がニッコリと微笑んだ。
「・・・そうね・・・そこら辺にでも適当に放っといて」
「了解」
和斗は、リビングの空いてるソファーに僚を放ると、さっさとリビングを後にした。

翌朝、男女の大絶叫で和斗達が目覚めた事はいうまでもない。


言い訳:皆様の熱い要望?にお答えして、男4人編。
     やはり、危惧した通り収集がつかなかった・・・
     ということで、むりやりこじつけで寛弥ちゃん登場。
     そして、むりやり終わらせる。(爆)
     ・・・・いいのか?それで。   
     そして、伽羅様。
     当初のリクからはずれてしまいましたが、お許しください。
     苦情はBBSかメールにてお待ちしてます。